2002年度に施行された学習指導要領では、小学校の体育、
中学校の保健体育において、自然とのかかわりの深い活動
のひとつとして水辺活動が明示されました。これにより、
学校の実態に応じて積極的に水辺活動を行うことが求めら
れています。

また、2007年には、海に囲まれた我が国において、海洋に
関する基本理念を定め、海洋と人類の共生に貢献すること
を目的に、『海洋基本法』が制定されました。

その『海洋基本法』第二十八条において、
「国は、国民が海洋についての理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における
海洋に関する教育の推進、海洋に関する国際連合条約その他の国際約束並びに海洋の持続可能な開発
及び利用を実現するための国際的な取り組みに関する普及啓発、海洋に関するレクリエーションの
普及等のために必要な措置を講ずるものとする」として海洋に関する国民の理解の増進等が求められて
います。

しかしながら、2003年に日本マリンスポーツ普及教育振興
財団が実施した「水辺活動の教育への導入に関する
調査報告書」によれば、水辺活動の実施率は小学校で32%、
中学校で23%と報告されています。

このように低水準の実施率にとどまっている要因として、
臨海学校の廃止や教育現場での「指導者不足」「施設や
設備」「安全管理上」等が大きな課題となっています。

また、この10年間で海や川で泳ぐといった子ども達の「水離れ」「海離れ」が進んでいるとの報告もなされています。

前述のような背景をふまえ、状況を打開するために、
私たちは、小中学校の授業で実施可能な体験型の
学習プログラムの開発を目指しました。

海はもちろんのこと、川や湖沼など地域に合わせ、水辺に
親しみ、正しい理解や関心を深めるためには、水辺で行う
さまざまなウォータースポーツに取り組むのが一番です。
しかしその実現には、小中学校の水辺活動の実施率低下の
要因として上げられている内容がそのまま課題として残り
ます。その打開のた事業の目的めには、地域の教育機関、
民間団体、行政などが連携して取り組む必要があります。

今回私たちは、小中学校の授業にウォータースポーツを導入し、定期的かつ継続的に実施する体制を
確立するために、事業を実施しました。この事業をきっかけに、海洋教育の重要視や必要性を多くの
教育機関に認識していただき、学校教育の一環として海洋に関する教育やウォータースポーツが普及
する足がかりにしたいと考えています。